SAMURAI(旧スマートエクイティ)の澤田社長へインタビュー
2015年に投資型クラウドファンディングとして営業を開始したスマートエクイティ。
そんなスマートエクイティが新ブランドSAMURAIとして新たに登場しました!今回の変更はスマートエクイティを運営するAIP証券(現SAMURAI証券)がJASDAQ上場企業のSAMURAI&J PARTNERS株式会社の100%子会社となったことが理由のようです。
スマートエクイティ時代からサプリ生活ボンドやトランクルームファンドなど珍しい案件が多くありましたが、今回SAMURAIを立ち上げたことで変化することはあるのでしょうか?
気になる今後のSAMURAIについて、旧AIP証券の代表取締役であり、SAMURAI証券株式会社の代表取締役として就任している澤田社長にインタビューを行いました!

SAMURAI証券株式会社代表取締役 澤田 聖陽
証券会社出身。旧AIP証券の代表取締役であり、SAMURAI&J PARTNERS株式会社の100%子会社となった後はSAMURAI証券株式会社の代表取締役に就任。
この記事の目次
SAMURAI(旧スマートエクイティ)とは?
社長に関する質問
澤田社長の経歴について

まず始めに澤田社長の経歴を教えて下さい。

元々証券会社で投資銀行業務と呼ばれるM&Aやファンドの組成等の仕事をしていましたが、ご縁があった旧AIP証券の代表取締役となりました。当初は本当に事業も何もない状況でしたが、そこから事業を創出し、社員を採用し、現在にいたります。
「投資型クラウドファンディング」に着目したきっかけは?

澤田社長の経歴の中で「投資型クラウドファンディング」に着目したきっかけとは何だったのでしょうか?

小売でAmazonや楽天が既存店のシェアを奪っていったように、金融の世界でもリアルからネットへという大きな動きは今後ますます加速していくと考えられます。投資型クラウドファンディングはその時流に乗れるビジネスであると考えています。
一方、日本の金融商品はなかなかユニークな商品が少なく、投資家の不満は大きいという現状があります。
日本では、生活者にとって投資という世界は少しハードルが高いという印象がありますが、当社のサービスによって金融をより生活に密着した物にしたいという想いで始めました。
AIP証券の子会社化・SAMURAIの誕生について
SAMURAIとはどんなサービス?

「SAMURAI」とはどんなサービスか簡単に特徴を教えて下さい。

SAMURAIは、上場IT企業と証券会社がタッグを組んで提供する、個人投資家の皆様と、投資機会を結びつけるプラットフォームです。
拡大する業界の中でも、より安心して投資いただける機会を設ける事が我々の使命と考え、厳選した商品を今後積極的に展開していきたいと考えております。
SAMURAI&J PARTNERS株式会社の子会社となった経緯は?

AIP証券が「SAMURAI&J PARTNERS株式会社」の100%子会社になりましたが、どのような経緯で子会社となったのでしょうか?

旧AIP証券時代には、市場拡大が急速に進む中で、投資型クラウドファンディング事業をより拡大させるためにはどうしたら良いか日々試行錯誤しておりました。
一方でSAMURAI&J PARTNERSも、FinTech分野の中でも投資型クラウドファンディング事業への参入を計画しており、態勢やノウハウを必要としているタイミングで当社との出会いがありました。異なるバックグラウンドを持つ2つの企業が、同じゴールを目指すことで、より飛躍的な成長を実現できるのではないかと考え、一緒に事業を行うはこびとなりました。
スマートエクイティからの主な変化点は?

スマートエクイティから「SAMURAI」への主な変化点はどこですか?

12月15日にはサービスサイトをリニューアルし、SAMURAIとしての新しい一歩を踏み出すと同時に新商品の発売を開始しました。
来年の春には更に大規模なサイトリニューアルを予定しており、商品組成に関しては、今まで以上のペースで多様かつ魅力的な商品のラインナップを提供していきたいと考えています。
グループ会社で貸金業ライセンスの取得も作業を始めており、自社のレンディング商品についても、貸金業ライセンスを取得し次第、春先ぐらいを目途に提供していける予定です。
SAMURAI&J PARTNERS株式会社の子会社となるメリットについて

ジャスダック上場企業である「SAMURAI&J PARTNERS株式会社」の子会社になったことで得られるメリットとは何でしょうか?

まずユーザーに対しては、親会社が上場企業であるという安心感を持って頂く事が出来るという事が最大のメリットだと思います。
またSAMURAI&J PARTNERSのボードメンバーには銀行、監査法人、ファンド等金融関連業務の経験者が揃っています。経験に裏打ちされたノウハウや人脈を駆使し、プロが作る、プロに認めて頂ける商品を提供していけるという点も大きなメリットではないかと思います。
ファンドの募集について

ここ1年程ファンドの募集が少なかったように感じましたが、今回のAIP証券が子会社化したことに関係があるのでしょうか?

2点理由があります。
まず第1点としては、SAMURAI&J PARTNERSによる買収作業を進めており、その決着がつくまで新商品の提供を控えていたという点。
2点目としては、今年の前半期に多くのソーシャルレンディング運営会社の期待利回りが異常に高くなってしまっていたという点です。特に今年の2月にはほとんどの運営会社の平均利回りが10%近くになっているという現象があったように思います。

たしかに、最近では10%前後の利回りで募集する運営会社が目立ってきましたよね。

はい。しかし当社としては、あまりにも利回りだけが先行していたように思うため、その時期は新商品を出すのは控えておりました。
現在のゼロ金利の環境において10%の利回りというのはそれ相当のリスクが発生する投資だと考えていますし、それを明確に説明する必要があると考えています。
これは大変僭越な話ではありますが、一時的に投資家の大部分(実は一部の投資家かもしれませんが)が利回りだけを見て投資するような事態が起こっていたように思います。その後、特定の業者の信用リスク問題が発生し、今では多くの投資家の皆様がリスクとリターンを鑑みて投資するような時期になっていると考え、ファンドの募集を開始しました。
案件について
これまでの実績等について

平均目標利回り5~10%ということですが、これまで10%の利回りで運用できた案件はありますか?

まだ10%で運用した商品はありません。
現在のゼロ金利下で、10%で運用する商品という事になると、リスクもそれなりに高い(10%のリターンは10%のリスクがある事と表裏一体)ものとなります。それ相応のご説明を行い、理解したうえで買って頂く事が必要と考えております。
今後の案件の予定は?

「SAMURAI」ではどのような案件を取り扱う予定ですか?今後のファンド傾向について具体的な考えがあれば教えてください。

当面は所謂ファンド型と貸金型を中心に取り扱っていく予定です。
またアセット系(不動産等)については、投資家の皆様に人気が高いので、他社とは少し変わった切り口での商品を提供する事を計画しています。
案件のペースについて

今後どのくらいのペースで案件の募集を行う予定ですか?

2018年3月までは月に1~2件の新商品を出して行きたいと考えております。3月にサイトを全面リニューアルしますが、そこからはかなりの品ぞろえが出来るような形を考えております。
SAMURAIならではの案件の強みはある?

スマートエクイティ時代からなかなか他の営業者では見られない珍しい案件が多い印象がありますが、不動産ファンドや事業者支援ファンドなどと比べて、これらの案件ならではの強みとは何でしょうか。

不動産案件は投資家に人気があり、前述のとおり当社も手掛けていく予定ですが、不動産一辺倒になると不動産市場にガラが来た時(不動産市場が急落する局面)に厳しくなります。
実際、私は20年ほどこの業界にいますが、その中で株式市場や不動産市場が急落する局面は2~3回ありました。特にリーマンショック後は不動産に投資している投資家(特にレバレッジを高くして不動産を買っている投資家や実際の不動産の価値よりも高く買っている投資家)は、かなりの痛手を負いました。
確かに不動産は安定しており市場規模も大きな商品ですが、そこ一辺倒にならず、オルタナティブという観点からもう少し広い視点で分散投資を行うべきと考えております。
リスクについて
為替リスクに対するリスクヘッジはある?

「SAMURAI」はスリランカ預金ファンドなどの海外案件も取り扱っていますが、為替リスクに対するリスクヘッジ等を行う予定はありますか?

考えていない訳ではありませんが、本来新興国への投資を行う場合、為替はできるだけヘッジしない方が投資としては醍醐味があると考えています。
日本人は、為替はリスクとしか捉えない傾向がありますが、逆にリターンの源泉でもあります。一般論として経済規模が拡大している国の通貨は強くなります。
例えばスリランカなど、今後伸びると考える国への投資を行う場合には、為替をヘッジしないで為替によるリターンも期待する方が良いのではないかと個人的には考えています。

もちろん為替について円ベースで損失が発生する可能性もあるので、そこは自己判断でということですね。
リスク軽減への対策について

ソーシャルレンディングでは担保や保証をつけるなどして投資家のリスク軽減を図っていますが、「SAMURAI」ではどのようにして投資家のリスク軽減を図っているのでしょうか?

担保や保証を付ける事によって投資家のリスクを軽減する方策はSAMURAIでも行いますが、例えば担保が付いていても、担保が付いているという事実だけではなく、その担保評価が適正であるかどうかの方がより重要だと考えております。
例えば不動産鑑定では、極端な例ですが、その手法等によって倍の評価が出るようなケースもままあります。
繰り返しになりますが、ただ単に担保が付いている、保証が付いているという事実だけ判断するのでなく、担保が本当に適正なのか、保証する先の与信はどうなのかという事実を投資する上で意識してほしいと思います。
投資家にアピールできる点は?

近年、行政処分を受ける営業者が出てきており、投資家も営業者の信頼性を気にする方が多い印象を受けます。そこで「SAMURAI」が投資家に信頼をアピールできる点を教えて欲しいです。

業界内のバッドニュースに関しては、顧客離れという観点で危機感を覚えますが、SAMURAIに関しては、まず証券会社が運営しているという点をアピールしたいですね。第一種金融商品取引業者(証券会社)としての登録を行い、クラウドファンディングサービスの提供を行っているという点です。
匿名組合については、日証金信託銀行と顧客分別金信託契約を締結しており、募集預り金を信託保全によりお客様のご投資金額は分別管理のうえ保全されていること等(匿名組合の募集預り金を法的に信託分別しているのは業界で当社のみです)、より厳格なレギュレーションのもと、資産を安全にお預かりすることを第一にサービスの運営を行っています。
また他にも、上場会社を親会社に持ち、コンプライアンス面においては十分に高い水準が確保できている事もアピールポイントであると捉えています。
株式型クラウドファンディングについて
株式型を取り扱う予定はある?

スマートエクイティで株式型クラウドファンディングを開始するという話がありましたが、SAMURAIでも株式型を取り扱う予定はありますか?

現在でも、どこかの時点でご提供したいと考えております。
株式型クラウドファンディングについては、ディスクロージャー(情報開示)がかなり重要であると考えており、金融当局と相談しながら進めていきたいと考えております。
今後のSAMURAIについて
2018年3月のリニューアルについて

2018年の3月にサイトのリニューアルが控えているとのことですが、具体的にはどのような点がリニューアルされるのでしょうか?

まずデザインを一新する予定です。
その他お客様のユーザビリティを高める方策も何点か考えておりますが、こちらは決定し次第お知らせいたします。
今後の展望は?

「SAMURAI」としての今後の展望を聞かせて下さい。

投資型クラウドファンディングはまだまだ発展途上だと思っています。だからこそサービスを提供する側の我々がコンプライアンス面や商品設計・管理を証券会社のレベルで行い、安心して投資していただけるサービスを作っていくことを第一の目標としています。
まずは信頼されるサービス作りを目指します。そしてこれまでの金融につきまとっていた難解でわかり辛いといったネガティブなイメージを払拭したいですし、ゆくゆくはSAMURAIを通して資産運用が今よりも当たり前になっている社会を作っていきたいです。
また、日本国内にとどまらず、これまで投資機会の少なかった世界中の投資商品/サービス/ドネーションに小口でアクセスできるチャンスを創造していきたいですね。
最後に
「SAMURAI」にしかない強みとは

近年、投資型クラウドファンディングの営業者は増加傾向にありますが、その中でも「SAMURAI」にしかない強みとは何でしょうか?

当社の強みと言えば証券会社と上場会社(IT企業)がタッグを組んだという点に尽きるのではないかと思います。今後は業界的にもより安心、安全というキーワードが重要視されると思いますし、その点においては当社の強みが最も発揮されるのではないかと。
また、上述したように各金融分野のプロが結集する事で、厳しいプロの目で選ぶ厳選された本物の商品を提供していけるという点も強みとしてアピールしたいですね。
投資家へのメッセージ

最後に投資家にメッセージをお願いします。

今後積極的な商品及び情報の提供を行っていきますので、新生「SAMURAI」のサービスを是非よろしくお願い致します。 会員登録については無料なので、まず会員登録をして頂けますと幸いです。
インタビューの感想

今回はSAMURAIの澤田社長にお話を聞きました。急なインタビューにもかかわらず快く応じてくださってありがとうございます!
スマートエクイティ時代は業界初の株式型クラウドファンディングを始めるといった発表があったものの、しばらく動きがなかったため気になっていた方もいるでしょう。管理人も、このままサービス終了なのでは?と心配していただけあって、今回の新ブランド設立には非常に驚きました。
もともと第一種・第二種金融商品取引業を持つAIP証券が運営していたスマートエクイティですが、SAMURAIに変わってからはJASDAQ上場企業という要素が加わり、さらに信頼性が上がったといえるでしょう。
そして管理人が注目したのは、SAMURAIの利回りに対する認識です。昨今では投資家を集めるために10%前後で運営を開始する業者が多い中、SAMURAIは高利回り案件が持つリスクに対する認識が高いと感じました。
確かに行政処分を受ける運営会社が目立ち始めたことで運営会社の信頼性を重視する投資家も多いので、このように考えているSAMURAIは信頼に値する業者なのではないかと思います。
SAMURAIでの本格的なレンディング開始は2018年の春先から、不動産投資など新しい案件が予定されているとのことなのでとても楽しみですね。今のうちにサイトの確認をしておきましょう!
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