
2011年に海外から日本にやってきたクラウドファンディングは、東日本大震災や一種のボランティアへの注目などの流れの中で、大きく日本の人々の間に浸透してきました。
寄付ではない形、個人でもプロダクトを作り出すことが出来るといった特徴から、更に多くの人に注目されることが期待されます。
そんな将来性を持つクラウドファンディングですが、海外、特にアメリカのクラウドファンディングと日本のクラウドファンディングでは、特徴や性格に違いが生まれてきました。
果たしてどうして違いが生まれるのでしょうか。
日本と海外の成約率の違い
日本と海外のクラウドファンディングに注目したときに、非常に大きな違いとして注目されるのは成約率の違いでしょう。
日本全体のクラウドファンディングの成約率はおよそ50%といわれており、これは海外の成約率と比べると高い数値になっています。
この成約率はクラウドファンディングのプラットフォームによって異なりますが、
国内初の「Readyfor」は65~70%
国内最大の「CAMPFIRE」や
「Makuake」では20~30%、
後発組の「ENjiNE」や
「Kibidango」では80%以上
となっており、数字にはかなりの違いが見られます。
これは、目的を異にしているためといえるでしょう。それでも、ここまで成約率が違うのはかなりの驚きです。
一方、アメリカのクラウドファンディングの成約率はどうでしょうか。
世界トップと評価されている「Kicksarter」の成約率は35.8%
「Indiegogo」の成約率は17~18%と
日本の成約率と比べると、だいたい半分ぐらいになるといえます。
ただし、アメリカには、1つのプロジェクトで、日本円にして10億円を超える開発があったり、世界レベルで注目されるプロジェクトが存在していたりと、とにかく規模が大きいため、日本では成功といわれるような金額を集めても、目標金額に到達しないということもあるのです。
そして、海外ということでイギリスのクラウドファンディングも見ていきましょう。最近では、オランダやポルトガルなどの国々の動きが注目されていますが、ヨーロッパ最大のクラウドファンディング国といえば、まだまだイギリスの存在感は無視できません。
イギリスのクラウドファンディングの平均成約率は55%といわれ、日本よりも少し高いといえるでしょう。
特に、「JustGiving」
「VentureFounders」
などでは、成約率が平均で80%近くになるともいわれており、高い成約率には注目したいところです。イギリスの成約率の高さは、クラウドファンディングのプラットフォームの対応が手厚いという特徴があります。
単にプロジェクトを立てる場所という点だけでなく、中には、成約までの間、ほとんどプロのコンサルティングではないかとも思えるような支援を行っているプラットフォームもあるほどです。
成約率の違いはそのまま特徴の違いになる
日本・アメリカ・イギリスとみてきましたが、成約率はかなり違いがありました。特にアメリカでは、日本やイギリスに比べると半分程度と、クラウドファンディングのプロジェクトオーナーとしては、かなり厳しい環境といえるかもしれません。しかし、その内実は大きく異なっているといわれています。
日本におけるクラウドファンディングは、基本的に「身の丈に合った」というプロジェクトが多いといわれています。失敗しても、個人で十分続けられるような仕組みであったり、そもそも失敗しないように最低限の資金を求めるようにしていたりと、確実性を求める傾向にあります。
一方で、アメリカでは、最低限の資金というよりも、一種のプロモーション活動として動いていたり、最初から中小企業との連携がとられていたりするため、スタートから規模感が異なるのです。加えて、挑戦を最大限歓迎する風潮から、クラウドファンディングのプロジェクトオーナーとして、ある程度プロジェクトを進めていくことは、いわばベンチャー企業の育成のような評価も出てくるため、その後のキャリアにとってプラスとなることもあるでしょう。
結果として、「失敗してもリターンが大きい」ため、失敗自体に確実性を求める必要がないともいえます。更にイギリスでは、先述したように、キャリア的な側面だけでなく、そもそもクラウドファンディングのプラットフォーム自体が、コンサルティングファーム出身者が作成していたり、政府金融機関に務めていた人が内部で活動していたりと、専門的な知識を持つ人たちがそろっています。
結果として、非常に難しいかじ取りを行う際に助言を受けとることが出来るため、成約率が高まる傾向があるのです。
海外のクラウドファンディングは金額や規模が大きくなる最大の理由
日本とは異なった環境で進めている海外のクラウドファンディングという印象ですが、環境以外にもっと重要な要素があります。それは、使用言語です。
日本語とは違い、英語は世界最大級の言語であり、第二外国語として取得している割合も含めると、前回の人口の半分近くが利用できるのではないかともいわれています。
そのため、クラウドファンディングを行う際の対象市場が、日本とは比べ物にならないほど大きい傾向にあるのです。 結果として、資金も集まりやすく、広報もうまくいきやすいということで、資金が大きくなってもまとまる可能性が高まります。
海外のクラウドファンディングは、その土台となる環境の違いだけでなく、英語と日本語という大きな違いもあり、結果として金額や規模が大きくなりがちなのです。
<まとめ>
日本と海外のクラウドファンディングの成約率の違いに注目してきました。
日本においては、残念ながら、成約に失敗するとそのまま消えてしまうといったことが、まだまだ多く聞かれます。
一方で、アメリカやイギリスでは、失敗したものの、その挑戦やその後の動きなどが大いに評価され、大手企業への就職に成功した例などいくらでも出てくるのです。
クラウドファンディングを通じて、挑戦を受け入れる社会へ日本も変わっていってほしいと思います。
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