
新しい資金調達方法として人気が高まっている購入型クラウドファンディング。クリエイターや起業したい人など多くの方が利用し、魅力的な製品やサービスが生まれています。しかし、実は全てのプロジェクトが成功している訳ではなく、失敗や返金などのトラブルも発生しているということを知っていますか?
今回はそんな購入型クラウドファンディングで起こる可能性のあるトラブルについてまとめました。
「簡単に資金が集まりそうだから」「商品がほしいから」という気持ちで始めるとトラブルに繋がりかねないよ!
クラウドファンディングを有効活用するためにも始める前にきちんと理解しておきましょう!
プロジェクトの不成立

まず始めに失敗のパターンとして多いのがプロジェクトの不成立です。
資金の募集を行ったプロジェクトが必ずしも成立するとは限りません。その理由として購入型の資金分配方法に“All or Nothing(達成後支援)型”と“ダイレクト(即時支援)型”の2通りの方法があるからです。
まず1つめのAll or Nothing型。これはプロジェクトが目標金額を達成した場合のみ資金調達が行われるという方法で、達成できなかった場合には支援者に返金されるという仕組みとなっています。
次に2つめのダイレクト型ですが、これは目標金額の達成に関わらずプロジェクトが実行される方法で主に見返りのない寄付などの目的で利用される為、支援者に返金はありません。
よって1つめのAll or Nothing型を選択し、目標金額を達成できなかった場合にはプロジェクトが不成立となり、起案者はプロジェクトを実行できなくなってしまうという訳です。
その為、プロジェクト実現の為には目的に合わせた分配方法を選択する必要があるんじゃ。
またその一方で、失敗時の支援者側のリスクを考えると、返金があるAll or Nothing型の方が圧倒的にリスクが少ないと言えるでしょう。よって支援者もプロジェクトに出資する前には必ずこの分配方法について確認することをおすすめします。
プロジェクトの失敗

先程プロジェクトの不成立についてお話しましたが、次に心配の声が上がるのがプロジェクトの失敗です。
このプロジェクトの失敗とは先ほどのプロジェクトの実行失敗と違い、資金集めには成功したものの、プロジェクトを実行した後に何らかの原因により失敗してしまったということを意味します。そして、もしもこのような失敗が起こるとプロジェクトが成立しても支援者へのリターンはなくなり、お金も戻ってこないという大きなトラブルが発生してしまうのです。
資金集めに成功したのになぜこのような失敗が起こるの?
その原因として“コストの計算ミス”が挙げられます。
これは制作や開発経験のない一般の個人による募集で、その経験不足からコストの計算を誤り、当初考えていた金額以上のお金が必要になってしまうというケースが多いです。よって購入型クラウドファンディングでは必ずしもそのような経験がある企業やクリエイターだけが募集を行っている訳ではないということを頭に入れておきましょう。
このように悪意はなくてもプロジェクトが失敗し、支援者に約束していたリターンを届けられずに返金もできないという問題が発生します。この場合、支援者側はリターンもお金も失ってしまうので最悪な状況となってしまうでしょう。
不安にさせてしまいましたが、このような失敗のケースをなくす為にも運営サービスは掲載するプロジェクトへの審査を行っています。
つまり審査を通過し、選ばれたプロジェクトでなければ掲載ができないので、実際にそのような失敗が起こるという確率は少ないということじゃ。
しかし、支援者はこのようなリスクが生じる可能性もあるということを忘れず、出資を行う前にプロジェクトの実現性について再度自分で考えてみることが大切となるでしょう。
ショッピング感覚での購入

3つめに紹介するのはネットショッピングでの感覚で購入し、プロジェクトの不成立や失敗により商品が届かずにトラブルに発展してしまうというケース。
購入型クラウドファンディングはショッピングサイトとは違って、まだ完成していないモノやサービスに対して購入というカタチで資金を提供するものだから、お金を振り込んだからと言って確実に商品が手に入る保証はないんだよ!
従ってショッピング感覚で購入してしまうと、前述しようなプロジェクトの不成立や失敗などによってお金を振り込んだのに「商品が届かない」「お金が戻ってこない」というトラブルに繋がってしまいます。
しかし、このように購入型クラウドファンディングの仕組みを知らない人が増えた背景にはSNSなどで話題性のあるプロジェクトが拡散されるなど、クラウドファンディングの知名度の上昇が挙げられ、実際にサイト内には購買意欲をかきたてる今までにない新しいアイディアの商品やサービスが紹介されているからです。
よって、うまく活用する為にはその意味やリスクも知っておく必要があるんじゃぞ。
転売横行の場となる可能性

4つめは転売横行の場になるという問題点について。
どういうことかと言うとクラウドファンディングを転売目的のツールとして使用するということです。
これはアメリカの代表的なクラウドファンディング運営サイト「Kickstarter」でも実際に起きた事例で、起案者は早く資金を集めたいという目的で数百個の完成品をリターンとして設定。しかし、支援者はその数百個という数を転売目的で購入したことで、少しずつ資金を集めるというクラウドファンディング本来の意味を失ってしまいました。
日本ではプロジェクト掲載時に運営サービス会社による審査が行われているから、あまり無茶苦茶なプロジェクトやリターンは掲載されないよ!
その為、比較的転売などの目的で使われることはありませんが、万が一そのようなプロジェクトを見つけた場合には大きなトラブルに発展する可能性があるので手を出さないように注意して下さい。
クラウドファンディング詐欺に注意

最後に購入型クラウドファンディングにおいて注意しなければならないのが、資金調達と嘘をついてお金を騙し取るクラウドファンディング詐欺についてです。
このクラウドファンディング詐欺は資金を集めても商品を発送しない、紹介していた商品と全く異なった商品を用意するなどの手口で支援者からお金を騙し取ります。
実際にアメリカでは頻発して起きており、2012年にアメリカの「Kickstarter」で2万5000ドル(約300万円)を集めた「限定版トランプ制作プロジェクト」で発送期日を過ぎても商品を発送せず、そのまま音信不通となる詐欺が発生。クラウドファンディングでは今までプロジェクトが失敗しても、特に法的措置がとられることはありませんでしたが、これをきっかけにクラウドファンディングにおいて初の払い戻し命令が下されることとなりました。
日本ではまだあまり耳にしませんが、このような詐欺はクラウドファンディングに限らずに起こる可能性がある問題です。
自分自身でプロジェクト、サービスを見極めるなど詐欺に合わないために注意する必要があるんじゃな。
まとめ
購入型クラウドファンディングにはこのようにプロジェクトの不成立や失敗により商品自体が手元に届かない場合や、詐欺などによりお金がなくなってしまう可能性なども考えられます。
安全性重視の日本では掲載の審査や情報の開示などが厳しく行われているため、これらのような可能性はあまり考えられませんが、実際にアメリカでは頻繁に起こっています。現在の日本でのクラウドファンディング人気を考えると今後も更に利用者が増え、その可能性もでてくるでしょう。
とは言え、これらのリスクを上回る魅力があるのがこの購入型クラウドファンディング。現在、その活用の幅は地域の発展からアニメ漫画などのサブカルチャー、IT業界など様々な分野で広がりを見せており、今後ますます注目されていくことは間違いありません。
そんなクラウドファンディングで悔しい思いをしないように始める前に少しでも仕組みを理解し、楽しく活用していきましょう。
購入型(報酬型)クラウドファンディングの仕組み
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