
今回はソーシャルレンディングのリスクについて。
ソーシャルレンディングは資産運用の中でもあたらしい方法のため、まだ法律が完全には整備されていないという点や、いわゆる資産活用として見たときに、リスクや注意点として考えなければならない部分があります。
ソーシャルレンディングにはどのようなリスクがあるのでしょうか。
決して初心者向けではないソーシャルレンディング

ソーシャルレンディングはここ数年注目されているFintech(フィンテック)のひとつとして認識されていることもあり、投資初心者にも手を出しやすい投資方法と捉えている人も多いです。
ただ、実際そうではありません。その傾向を示す最大の特徴が「元本保証がないこと」です。
相場に「絶対」はありません。そのため、相場が思わぬ動きをした時のリスクヘッジに、投資家を保護する「元本保証」という商品が多くの投資信託には用意されています。しかし、投資信託とは異なり、相場の影響を受けないソーシャルレンディングには元本保証がありません。
よって最悪の場合、投資した資金が返済されない貸し倒れリスクは投資家自身が負うこととなります。そのような観点で見ると、ソーシャルレンディングは決して初心者向けではないと言えるでしょう。
そのため、投資する前に投資家が注意してみておきたいのが担保の存在です。ソーシャルレンディングは案件ごとに不動産などの担保が設定される場合があります。担保つきの案件であれば貸し倒れが起きた場合にその担保を売却して損失を取り戻すことも可能となるので、担保を確認することが大切です。
市場拡大の背景で注意すべき点
ソーシャルレンディングのような資金の貸し手と借り手が金融機関を挟まず、直接資金供給をするビジネスモデルは、少しずつ浸透しているといえるでしょう。
ソーシャルレンディングの市場規模は、ある調査で約500億といわれており、金融に関して事前知識のある人たちには急激に広まっています。この先、これまで抵抗なく「投資金融機関に任せること」だった人たちに浸透することがポイントです。
いま流行のFintechだから、各社のホームページが格好良いから、実際に各社のホームページはとてもお洒落ですが、だからと言って投資するのではなく、投資方法そのものの特徴を分析して投資するようにしましょう。
ソーシャルレンディングは「平均5%前後の高い金利で低い手数料」というキャッチ―なメリットがあるため、あまりデメリットに目が向きません。また、これまで一定程度の元本が必要だった資産運用とは異なり、1万円からの少額投資が可能な点も魅力的です。
ただ、元本保証がないことはしっかりと理解をしたうえで投資案件を決めるように注意しましょう。各運営会社のカスタマーサービスは整備されているため、十分に活用して下さい。
破綻に対するリスクヘッジがない点にも注意
現預金はもちろん、投資信託においても仮に「破綻」したときに救済策が存在します。ただ、ソーシャルレンディングに関しては、この救済環境は整備されてはいません。
しかし、ソーシャルレンディングの運営業者は「第二種金融商品取引業登録(資本金1000万円が必要)」「貸金業登録」をする必要があるので、これらの点は運営会社を決める際に参考にするようにしましょう。
なお、海外の資産を運用しているソーシャルレンディングの大手企業はその特徴から、貸金業を取得していない場合もあります。
税金についても注意する
ソーシャルレンディングに投資する場合は「税金」についても注意しましょう。
ソーシャルレンディングで利益を得た場合は、所得税の雑所得として総合課税の対象となります。この総合課税は、給与所得などのほかの所得と合算されるため、ほかに利益がある場合は課税額が高くなる可能性があります。
現在国で進めているNISAなどの非課税策も、ソーシャルレンディングの商品はまだ対象とはなっていません(数年以内に対象になるとは思いますが)。そのあたりの現状も踏まえたうえで投資の有無を決めることも大切なポイントです。
リスクを知ったうえで投資することが大切

このようにリスクを説明すると、ソーシャルレンディングが危険な投資方法と認識してしまう人も多いのですが、低い手数料で高い利率を期待できる特徴は投資方法としてとても魅力的です。
よってソーシャルレンディングで投資する際には、まずは全体のリスクを正確に把握したうえで投資することを心がけましょう。
また、ソーシャルレンディングのデメリットに関しては他の資産運用方法でリスク軽減をするという考え方も大切です。投資の世界では、これを「ポートフォリオの分散化」といいます。株式でも、投資信託でも構いません。性格の違う方法に投資することが、全体を見るとリスクを回避する友好的な方法となります。
更にお伝えすると、ソーシャルレンディングの元本保証がないというリスクを考えると、分散として元本保証性の強い投資方法を選ぶことをおすすめします。安定している現預金や定期預金という方法もおすすめです。そうすることで、手持ちの資産が全体的に下がったときも、対応することができます。
ほかの資産とのバランスも活用しながら、ソーシャルレンディングで資産活用を進めるように心がけましょう。
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